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雨後の

主に備忘録の予定.

第16回図書館総合展 フォーラムその2(メモ)

午後一番のフォーラムは,国立国会図書館主催の東日本大震災に関する記録の収集・整理・保存について


東日本大震災に関する記録の収集・整理・保存について ―国立国会図書館・大 ...

 

フォーラムタイトルのとおり,NDL,大学(東北学院大学),県立(岩手県立図書館),30分×3本の事例報告。

 

NDLの諏訪康子さんは,東日本大震災直後の状況,対応から,現在行っている活動までを包括的にお話くださった。震災関連の情報等を集めた支援ページの立ち上げ,資料提供や相談,資料救済・修復など被災地の図書館支援,図書館研究レポート刊行*1などが紹介され,震災関係の資料を一元的に検索できる「NDL東日本大震災アーカイブ(愛称:ひなぎく)」の構築,運用体制なども詳しくお話された。図書館が経験したこの被災と復旧の過程を記録し公開すること,また震災に関わる様々な資料や記録を収集・保存し,後世に向けて誰もが参照できるようにしておくことを使命として語られていた。

東北学院大学の佐藤恵さんは,「東日本大震災の記録 Remenbering3.11」について報告された。これは東北学院大学東日本大震災アーカイブプロジェクト*2のうちデジタルアーカイブの部分にあたる。法人内の学校と関係諸機関によって震災発生から1年間の間に学内で作成された資料の収集手順,集められたドキュメントへのメタデータ付与についての試行錯誤,公開基準を定めるガイドラインの作成などが詳細に語られた。また,それらのアーカイブの意味について,震災前・後の「記憶」,それを見るものの当事者性を担保することであると話されていたのが印象的だった。アーカイブされたドキュメントは,客観的な資料であると同時に,それを経験したひとびとの心の中にある,あったものを当時の姿でとどめている。そのことを忘れずに丁寧にアーカイブしていきたいという思いが伝わった。

岩手県立図書館の澤口さんは,県立図書館として,県内市町村立図書館の被害状況の調査*3から復旧支援方針を打ち立て,その柱の一つとして震災関連資料の収集,保存,活用をたてたというお話であった。復興支援のプロジェクトの中に震災復興記録の収集や活用について明記し,県庁や市町村に関連資料の収集について依頼し,H25年度からは収集した資料のデジタルアーカイブの利活用について,岩手県立大学との共同研究も行っている。これらの収集資料をもとにワークショップやイベントを行い,関連団体との連携を行っていきたいとのこと。

 

全てのご報告から,震災当時の衝撃,辛さを乗り越えて,少しでもこれらを後世に遺し,関連するものをつないで多くの人に伝えていきたいという強い意志を感じた。そして当時は恐らく無我夢中で立ち上げたものが時限的なプロジェクトではなく,この先も継続して運営でき,活動を続けていくためにどうすればよいか,という部分を大きな課題と考えておられるようであった。

残念に感じたのは,ご発表3本と簡単なフロアからの質疑でフォーラムが終わってしまったことだった。このお三方でご発表の後にパネルディスカッションをしていただければどんなによかったかと思う。震災アーカイブを立ち上げ,これからも運営していく過程での課題,よかったこと,この先につなげるためのこと,そういったことを存分にお話しいただく時間が欲しかった。

 

フォーラム会場はやや狭く,大入り満員だった。起きたことの何を記録し何をどのような媒体で遺し伝えるか,根本的な問いに立ち返る時間であった。

各氏のご発表資料,動画も「ひなぎく」にアーカイブされている*4

 

総合展についての記事はこれで終了*5

 

*1:国立国会図書館デジタルコレクション - 東日本大震災と図書館

*2:震災関連の学内のあらゆる記録を収集,保存,公開する目的で立ち上げられたとのこと。震災全般にかかるアーカイブ事業は既に東北大学でも始まっていたため,幼稚園から大学までを抱える学校法人としての特色を活かすことを考えている

*3:被災状況は電話で行ったものの沿岸部は連絡が取れず,半数以上の市町村は直接訪問して確認されたとのこと。

*4:第16回図書館総合展フォーラム「東日本大震災に関する記録の収集・整理・保存について―国立国会図書館・大学図書館・県立図書館の取組―」のお知らせ【2014年11月7日(金)終了しました】 | NDL東日本大震災アーカイブ

*5:3コマ目には,国公私立大学図書館協力委員会主催の「大学図書館と研究支援」の後半,ディスカッション部分に参加した。前半で,APC,peer review,URAの3つをキーワードにお話があり,休憩時間の間に質問用紙が出されたようである。後半はそれをもとにいくつかのディスカッションが試みられたが,なんというか,会場の大部分を占めると思われる「伝統的な図書館」と,そもそものこれらのキーワードが示す学術情報流通(?)の現状や研究者が置かれている環境とのギャップの様なものが感じられ,うまくまとめられないので割愛する。なお,動画はyoutubeで公開されている


大学図書館と研究支援 ―研究を知る3つのキーワードから― - YouTube