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雨後の

主に備忘録の予定.

3/4「海外と日本の動向から見直す~オープンアクセス・オープンサイエンスと私の関係」参加記録

3/4は大図研近畿3グループの合同例会「海外と日本の動向から見直す~オープンアクセス・オープンサイエンスと私の関係」でした。

kokucheese.com

 

前半,

坂本拓さん(京都地域グループ)から,ドイツのオープンデータポリシーについての報告。

ドイツでは1998年にすでに,研究過程で生じたデータの「保存」に関する推奨の文書がでており,2010年に,データの保存とオープン化に関するポリシーが出され,それをベースに各大学が自機関のポリシーを作成しつつあると。

また,DFGが助成研究についてのデータのオープン化のポリシーをだしているそうで,それを実現するための様々な取り組みが面白かった。中でも,データは特に分野によって種類も扱い(慣習)も大きく異なるため,分野ごとのガイドラインを作成中という点は興味深い。

 

花崎佳代子さん(兵庫地域グループ)から,イギリスでオープンアクセスを実現するためのフローと,フローに沿ったjiscの様々な支援ツールや仕組み,2つの大学のオープンアクセスに関する具体的な状況や取り組み。

HEFCEがオープンアクセス義務化のポリシーを出したことが,かなりの影響を及ぼしていること,CRIS(研究業績データベース)がますます重要なツールになっていることがよくわかった。あと,実務担当者はやっぱり泥臭い部分をコツコツ手作業でやりながらの実現であることも。

CRISってなんか大学の研究プロセスにかかるあらゆるデータを引き受けている感で,ちょっと恐い感じもする。CRISにAIを搭載したらそれが大学の研究をコントロールして乗っ取ってしまう…みたいなSFが書けるんじゃないか。

 

「オープンアクセスと私の関係」ということで,義務化も国全体の枠組みもまだぼんやりしている日本では,コミュニティに焦点を当て,私からは,「機関リポジトリ」初期〜今までのリポジトリコミュニティの話をざっくりと。

CSIという,プロジェクト公募型の資金があり,「機関リポジトリとはなにか」という根本的な問いから学内でのアドヴォカシーやプロモートをどうするかを議論する,顔の見える関係,実務者同士の自由な議論が立ち上げ期を支えてきたという話。そして,インフラも進化していくので,個別に「正しい」ことを学んで実践するのでは追いつかず,むしろ自分たちの都合の良いように進化させて行くことができるのだ,それは人で支えていかなければならない,みたいなことを言いました。

 

加川みどりさん(兵庫地域グループ)からは,これからのリポジトリコミュニティのお話。加川さんのいらっしゃる神戸松蔭女子学院大は,クラウドリポジトリJAIRO Cloud 利用第1号です。兵庫で共同リポジトリを作ろうと研修会をしたらJAIRO Cloudができるという話で,じゃあそっちに乗っかろうじゃないかということで舵を切って来られました。JC参加館はどんどん増えて,今や一大コミュニティができるほどに。それが今年度,機関リポジトリ推進委員会,DRFと一緒になって,大きなJPCOARという枠組みになって船出しました。小さな機関ほど声を上げるメリットがある,いろんなことを言いあって良いものにしていきましょうとの声かけ。

 

後半はディスカッションでフロアからの様々な質問や意見受けながらの時間でした。

どちらかというと,研究系,国立大系の質問が多くてそっち寄りの話にはなってしまいましたが,リポジトリにとどまらず,ドイツが某大手学術出版社と揉めてる話とか,その条件の中にグリーンオープンアクセスの条件をもっとよくしろという内容が入ってるとか,やっぱり研究者とどれだけ接近できるか,一緒にできることを考えなければ,とか,学内でどんなことを誰がやっているのか知ろう,とか,publishの重要性は変わらないので,それをどう拾っていけるか,とか,興味深い話題が出たと思います。

で,メタデータスキーマがjunii2からjpcoarに変わるらしく,その案が提案されていて,意見を3/24(金)まで募集中とのことで,皆さん意見を出しましょう!だそうです。かなり細かいのでじっくり読んだ方がよさそうだけど…時間があったら読む会とかやったほうがええんではないかな…。「メタデータ⭐️ナイト」各地版,みたいな。

 

jpcoar.repo.nii.ac.jp

 

当日はクローズでしたがust中継もあり,遠くフランスから視聴くださった方もいて面白い試みであったと思います。兵庫地域グループの方ありがとうございました。

 

なお,この会の詳細なレポートについては,今年8月に出る『大学図書館問題研究会誌』に掲載されます。(宣伝

 

 

 

 

2016年振り返りと2017

年が明けました。おめでとうございます。

急に年末年始が来た感じで3日目にして少し落ち着いたので漸く振り返ってみたりしようかと。

2016年はライフイベントとして子どもが生まれたのが最大でした。これまでプライベートと仕事とあまり区別ない感じで,仕事や仕事と関連した業務でないことなどでみっちり埋まっていたのが,本当に完全に「プライベート」(へんな表現だけど)というのを体験したのはやはり大きかった。ある意味衝撃でした。

うまれてしばらくはFBなどをみても世間と切り離されたように感じて焦っている投稿が多いけれど,今はそんな日々を大事にしなければという気分です。

 

そんなわけで振り返りもプライベートや楽器関係が多くなりました。

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イベント参加記録『学びが「生まれる場」の作り方』

12/14に開催されたイベントに参加してきました。

www.cscd.osaka-u.ac.jp

 

阪大のCSCDが「高度汎用力」の涵養をテーマに掲げたco*デザインセンターに発展的解消してから,ナレッジキャピタルで開催されているトークイベントの3回目。

池田光穂さんと,ゲストに「こどもみらい探求社」共同代表のお二人を迎えたトークで,「学ぶ」「学んでいる実感」「学ぶ場」とは何か?というテーマで進められました。司会は八木さん。

こどもみらい探求社というのは,保育士のご経験を持つ2人が,既存の保育園を飛び出して,子どもと「環境」や「社会」をつなげるためにいろんなプロジェクトを行っている団体だそうです。保育園,というのは,子どもがその時期を過ごす環境の一つに過ぎないということ,保育園はどうしても「家族」とのつながりに終始してしまうが,最終的にはそれを取り巻く「社会」とリンクしているはずで,家庭との繋がりだけでなくてダイレクトに社会や環境のなかでこどもたちのことを考えたい,というように感じました。

それって,ビジネスとして成り立っているか? とか,様々な取り組みは非常に興味深いが,そういった新しいことが「チャレンジングで面白いからやってみよう」となるか,「前例ないし上手くいくかわからないから危険」となるかは何が違うのか,とか,結構核心をついた問いが司会・ホスト側から出されました。

これらについてズバリの答えはしにくいもので,ちょっとずらしたやりとりに移っていったものの,その途中で池田さんから提示された「解放」というのが大きなキーワードだったように感じました。

既成の保育園は,家族とのみ向かい合っていて,なかなか社会そのものに直接アプローチしにくい。ならばその保育園アプローチから自らを解放して,プロジェクトを行う(イマココ)。そしてこの先,プロジェクトの過程で,保育園で実際に行われている活動や保育士の力,スキルが実はすごいポテンシャルを秘めていることが保育園の外でも評価される。それによって既存の保育園や保育士の活動も解放される,というように向かっていくのでしょう。

池田さんが問題として提起する「今の大学の閉塞感」も同じで,大学の教育過程で「身につけねばならないこと」が定義されすぎていてがんじがらめになり,現場が一見自由度が高そうなのに実はすごく狭い,ということ。これも「育つ」という定義の解放,大学を出て身につけることを自ら狭く定義しない,問い直すことが重要と示唆されました。

これ,結局仕事現場でも全く同じだなと。この組織に課せられた役割というのを自ら狭く狭く定義し,前例に従ってその範囲を忠実にこなす。事務組織ではインフラとして機能するためにこの「前例に従って範囲を忠実にこなす」ことが最低限必須とも言えます。が,そもそもの役割や意義自体が問い直されずにいられない状況に陥っている現在,自らの定義を一旦解放してやって本質的に何が求められ,やりたいか,を問い直す必要があるのだなと。

自らを狭く定義し,(誰も言ってないのに)自分のやりたいことに手枷足枷をかけてしまうと,それを他人や下の世代にも強要してしまう。そんなこと誰も強制していないのだから自分から解放しなければならないのでしょう。自分自身の反省を込めて,自分自身の範疇の中で何が本質的で何が不要か,解放できる範囲を点検した上でくさらずにやらないといけないなあと思いました。組織が潰れる前に。

 

その他のキーワード

学ぶ,とは,自分で選択しているという意識(しがらみがある中であっても)

「育つ」とはどういうことか?→「時が経つこと。時が経てば,何かと出会い続ける,いろんなことが起こる。一斉に皆が同じところを目指すわけではない」「本人にしかできないこと,選ぶこと」←そこから翻って,「えらぶことができる」「選択肢がある」状況が常に用意されている必要があるのだろうと思った。

保育士の仕事はファシリテーション。いろんな関係性の中でコミュニケーションを作っていけるし,それが子どもの将来や可能性につながっていく,素晴らしいスキル。

教員などが「先生」と呼ばれることについて:「呼ばれて嬉しがっている場合ではない」その一方で,「専門職=プロであることを示す呼称であることへの厳しい自覚」

イリッチの言葉「想像的失業の権利」←ちょっと調べて(読んで)みようと思う。

 

盛りだくさんでなかなか楽しかったです。質疑の時間がほとんどなかったくらい。漠然とした理想の話もあったので突っ込みにくいところがあったかもしれません。

池田さんの最初の自己紹介で,今は「ジャンキーの社会的包摂 social inclusion 」を研究しているという話がめちゃ面白かったです。

 

あと,ナレッジキャピタル,初めて行った。

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